#6 岡田康弘 |ハッピーの連鎖を広げる「八百屋」

名前

岡田 康弘 (おかた やすひろ)

仕事

ジュース X ヨガ X アートギャラリー

場所

群馬県高崎市・koyomi

 
 

今回KIKITEは群馬県高崎市に行って来ました。行き先は岡田康弘さんが去年12月に立ち上げたお店、koyomiです。koyomiはどういうお店なのかを一言で説明するのは難しい。なぜならヤスさんには、三つの要素をひとつの場所で融合させるというビジョンがあるから。

お店に入ると、まずコールドプレスジュースや有機野菜を中心に販売するスペースがあって、その横にあるラウンジが、アートギャラリーとしてさまざまな作品を展示している。さらに2階に登ると、赤城山に面して広々としたヨガスタジオもある。

取材の前日にヤスさんを訪ね、お店のお手伝いをしながら、旬のジュースや野菜をたくさん味見しました。

今回のエピソードは、ヤスさんがヨガとジュースによって人生のどん底からいかに抜け出したか、koyomiが群馬の農家さんとどのようにwin-winの関係を築いたか 、そして周りの人たちをも巻き込んだハッピーの連鎖を作りたいという野望まで、たくさんの思いを語ってくれました。

撮影:Marco Lui

岡田さんとの対話の抜粋

— ヤスさん、昨日からお世話になっております!koyomiオープンしてから2ヶ月ぐらい経ちましたね。

2ヶ月で本当にいろんな課題ありますけど、戻ってきてくれるお客さんが徐々に増えて、ジュースに対して体に効果があるっていう実感が広がりつつあるという感じで、すごい手応えのある2ヶ月でしたね。

— そもそもなんでジュースを売り始めたのか?

4年前にうつ病で倒れたのがきっかけですね。それまでは大きい会社に勤めていて、海外で働いていました。そして6年ぐらい前に帰国をして、東京の本社に勤務することになった。そこからプライベートでも仕事でもいろいろ複雑なところがあって、自分でこのままでいいのか、自分で本当に人生やりたいこと何なんだろうみたいなことを押し潰していて、気づいたら眠れなくなった。適応障害とか、パニック障害とかも含めていろいろな病気を患って、倒れちゃったんですよね。

大きい会社なんで、部給料を出しつつ療養してくださいみたいな制度があって、それを取らしてもらって、それでたまたま両親が借りてた部屋が群馬県の榛名山の麓にあって、そこを貸してもらって、犬と引きこもった。

もうインターネットとかLINEとかも本当に接続しませんみたいな感じで、すごいつらかったので、人にも対面できずに1年ぐらい引きこもってました。

— そこからどう脱出したか?

元々ヨガをトレーニングの一環としてやってましたけど、お医者さんからヨガがいいよって言われて、古典的なヨガをやりたいなと思い始めて、それから繋がった先生がハワイに住んでいるヨーコ・フジワラ先生だった。フジワラ先生にオンラインでアシュタンガヨガを学ぶようになって、今度先生からオーガニック野菜っていいよって言われた。

その時、オーガニックとオーガニックじゃない野菜の違いは何なんとか分からなかったし、そもそもJA(農業協同組合)のスーパーで売ってる野菜も普通に美味しいし、オーガニック野菜がいいってどういうことと思ったけど、フジワラ先生のアシスタントがオーガニック野菜にすごく詳しい方で、その繋がりの繋がりで、群馬に紫式部というオーガニックのビーツを生産されている農家さんに紹介していただいた。

それで、有機野菜を食生活に取り込んでみたら、うつ病がみるみる回復してたので、オーガニック野菜のことを勉強し始めたんです。そして実際にそのビーツ農家さんに毎週お手伝いに行って、農作業しながらいろいろ教えてもらった。

元々僕も海外でコールドプレスジュース好きだったので、自分なりにローカルでこの地方でコールドプレスジュースとかオーガニック野菜を販売するとしたら、東京とか都心部とかでやられてるやり方とは全く違った、ローカルならではのやり方ってあるんじゃないかと思い始めた。いろいろ考えていったら何とかできそうだと思って、自分ももうちょっと地方の田舎のゆったりした生活をしたいなと思って、それで決めました。

「お客さんとの接点が点ではなくて、むしろ線というか、動的な流れの中でお客さんと繋がっていたい。」

— いろんな「偶々」 の積み重ねですね。

本当にそう。いろんな偶然だし、いろんなご縁とかいろんな出会いです。

実際その農家さんとの出会いについても、ドアロックで行って、何も怪しまずにいろいろ話を聞いてくれた。そしたら、農家さんはどういうふうに野菜を栽培してるのか、どういうところに困っていて、どういうところに幸せを見出してるのかっていうところを、やっぱり身近に見せてもらうことで、自分が事業を組み立てたときにどうやって農家さんが役に立てるのかっていうことも、いろいろ想像できるようになった。

「ハッピーの連鎖がずっと動いて回ってるっていう、koyomiのビジネスにおいても長続きする一番重要なポイントだと思う。」

その話を聞いた農家さんもそこに乗ってきて、その他の農家さんを紹介してくれるみたいな、本当にたまたまの積み重ねが今も続いてるって感じですね。

— koyomiでどのような事業を提供したいですか?

koyomiは、ヨガ、食事と芸術、この三つの要素で、心と体の内側から元気になるということをお手伝いしたいと思ってるブランドです。

1階はオーガニック野菜を使ったコールドプレスジュースと、ジュースの素材の取引でお付き合いしてる農家さんが、他にもいろいろ作ってるお野菜を販売するマルシェと、ラウンジスペースのアートギャラリー。2階はヨガスタジオで、いろんなタイプのトレーニングのクラスを提供してます。

— この組み合わせは斬新ですね。

お客さんとの接点が点ではなくて、むしろ線というか、動的な流れの中でお客さんと繋がっていたいですね。例えば芸術と言っても、別に何か高尚のことを言ってるわけではなくて、お客さんがヨガを終わった後、ジュースを飲んで、ギャラリースペースでお喋りとかして、夕飯のために野菜を適当に買って帰る。これって普通に今起こってるお客さんの動線だと思います。

— これはスーパーにもヨガスタジオにもない、新しいビジネスモデルですね。

むしろ懐かしい感じかもしれない。例えば帰ってくるお客さんが前回飲んだジュースどうだったみたいな話をしたり、今こういう野菜入ってるよ、こういう食べ方美味しいよと話したりして、「これ、昔の八百屋じゃない?」と最近お客さんからよく言われる。koyomiは昔の八百屋に少し付加価値をつけてできてるのかもしれいない。それはお客さんから言われて、すごく嬉しかったですよね。

お客さんがハッピーになると同時に、農家さんもkoyomiもハッピーで、このハッピーの連鎖がずっと動いて回ってるっていう、koyomiのビジネスにおいても多分長続きする一番重要なポイントだろうと思って、そこを意識しながらやってるって感じですよね。

そのあと、koyomiではなぜ群馬県産の野菜や果物を使うのか、規格外農産物をジュースの素材として購入することでどのように農家さんたちに役に立つかなどなど、ヤスさんが語り続けますので、ぜひポッドキャストへ!


Marco

規格外の果物を大量に買い取ることで、無駄を減らし、農家の利益向上にも貢献できる。そうすると、農家はkoyomiに有機野菜を安く売ってくれて、顧客に有機野菜をより安価に購入することができる。素晴らしい好循環にとても感銘しました。

 
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